橋本 武 著『伝説の灘校国語教師の「学問のすすめ」』(2013)PHP研究所

灘高の国語の先生であった橋本武先生。短くまとまっていて読みやすいので、特に書くのに困っている人におすすめしやすい本でした。

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前半で話題になった国語教育がどう誕生したのかがわかります。話題となったのは灘高が優秀な高校になったからでもありますが、3年かけて『銀の匙』を通読するという授業が独特だったからです。

『銀の匙』を通読するという選択をしたのは、敗戦で当時使っていた教科書に黒塗りをすることになったからでした。たしかに黒塗りの教科書は使いたくはないでしょう。自然な印象ですが、他の先生は黒塗りの教科書を使っていたわけです。

  • 『銀の匙』が新聞連載であったため、授業で使いやすかった
  • 『銀の匙』は夏目漱石に絶賛されるほど美しい日本語だった
  • 子供から青年に成長する話で生徒の興味を惹きやすかった

などなど様々な理由が挙げられていました。

「書く力」をつける練習法

特に心動かされたのは「書く力」をつける練習法として3点挙げられていたことです。

  1. 読後感を書く
  2. 日記をつけること
  3. 詩や歌を作ること

読後感を書くは、私事ではありますがこの記事を書いている動機です。いままでサボっていたため中学生の読書感想文から成長していませんが、続けていればそのうちに上達してくると期待しています。

日記についてはなかなか継続は難しいのですが、英語日記をつけ始めています。これはAIというかベイズフィルタというか機械翻訳の精度が飛躍的に上がったために、これを利用しない手はないなと考え、自作アプリを作りました。

なかなか便利なのですが、そもそも日記に書く内容がしょぼいと英語も(当たり前ですが)単調なものになり勉強にならない気もしています。それらも含めてそのうち上達して(略)

詩や歌は作っていないのですが、橋本武先生が生徒に読書感想文を提出させるとき一つだけ条件があるそうです。

最後の「。」が必ず行の一番下のマスに来るように書く

です。面白い制約だと感じました。自分の自由に書いているとついつい単調になってしまいますが、「。」の位置を調整する過程で自ずと類語や言い換えを使う必要が出てくるからです。

新しいことに挑戦したくなる

読後感を書くことと日記をつけることは続けたいです。詩や歌を作るにも挑戦する気持ちにさせてくれる国語教師ならではの本でありました。